≪ぼくもわかってる≫
(ナレーション) まことくんはかわってしまいました。誰にでも優しくて、勇気があって何よりもみんなの幸せになるのが一番のまことくんにはもう、今までのニコニコ笑顔がきえていました。りんちゃんは悲しくてたまりませんでした。
(ナレーション) 夕方、まことくんはりんちゃんのお家へ行きました。
(まこと) 「りんちゃん。りんちゃーんいる?」
(りん) 「はい、まことくん」
(ナレーション) まことくんは照れながら
(まこと) 「さっきはごめんね。みんながいたから恥ずかしくて。りんちゃんにこれプレゼント、これでニコニコ笑顔になってもらおうと思って」
(ナレーション) と大きな花束をさしだしました。
(りん) 「これ、魔法の杖でだしたの?」
(まこと) 「うん、そうだよ。りんちゃんが欲しいかなと思って。はい、キレイでしょ。こんな大きな花束はりんちゃんにしか出してあげないんだ」
(りん) 「いらない」
(まこと) 「えっ、なんて言ったの」
(りん) 「まことくん、ありがとうでもいらない」
(ナレーション) まことくんはどうしていらないって言われたのかわかりません。
(まこと) 「どうして、お花嫌いなの?ペンダントがよかった?じゃあ綺麗なお洋服は?」
(りん) 「全部いらない。まことくんがくれる物全部、ぜーんぶいらない」
(まこと) 「なんだよ、喜んでくれると思ったのに。やっぱりりんちゃん大嫌いだ」
(ナレーション) まことくんは花束を投げつけて帰って行きました。りんちゃんの心の中も、まことくんの心の中も大雨です。まことくんは思いました。
(まこと) 「もう、りんちゃんなんか大嫌いだ。ぼくのこと分かってくれないし、プレゼントも受け取ってくれない。大嫌い。あっそうだ、みんな欲しいものをもらって幸せになったからぼくにも1つくらいご褒美があってもいいよね大丈夫だよね。りんちゃんは嘘をついていたのかも知れないし、りんちゃんと絶交したからいいよ」
(ピカ…キラキラキラ)
(まこと) 「あれ、お花?」
(ナレーション) 大きな木の丘に咲いているお花が1つひらっと。
(まこと) 「あれ、間違えた」
(ピカ…キラキラキラ)
(ナレーション) 今度は何も出てきませんでした。
(まこと) 「今日はいっぱいみんなに出してあげたから魔法の杖も疲れているのかな」
(ナレーション) まことくんは気にも止めませんでした。
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