≪本当の魔法の杖は≫
(ナレーション) 次の日、りんちゃんの家へ向かいました。
なんだか心は曇り空です。
(まこと) 「りんちゃん。居る」
(りん) 「あっ、まことくん」
(ナレーション) りんちゃんはまだ元気がありませんでした。
(まこと) 「これ」
(ナレーション) 折れた杖を差し出しました。
(りん) 「折れたの?」
(まこと) 「うん、ごめんね」
(りん) 「いいよ、でも魔法の杖折れてよかったね」
(まこと) 「よかった?」
(りん) 「うん、よかった。またまことくんと大好きな大きな木の丘で遊べるでしょ。それとまことくんのニコニコ笑顔が見れるから」
(ナレーション) りんちゃんの顔がぱっと明るくニコニコ笑顔。
(まこと) 「どうして良かったのかな?どうして大切な杖を折られて怒らないんだろう、どうして笑ったんだろう」
(ナレーション) まことくんには全くわかりませんでした。ただ、前のようなニコニコ笑顔のりんちゃんに戻ってくれた事がとっても嬉しかった。
(りん) 「まことくーん、あの丘に行こう」
(まこと) 「うん」
(ナレーション) 2人の繋いだ手は大きく前へ後ろへ…。
また2人の心はぽかぽか。
(りん) 「あのね、まことくん今、魔法の杖の木にお花が咲いてるの。とってもきれいなお花でね、もうじき魔法の杖になるの。またまことくんにあげようか?」
(ナレーション) 大きく顔を左右にふり、
(まこと) 「もういらない。魔法の杖がなくてもみんなをニコニコ笑顔の幸せいっぱいにしてあげるから。でも一番はりんちゃんがニコニコ笑顔でいてほしいな」
(ナレーション) まことくんは少し照れくさそうに話しました。
(りん) 「ありがとう」
(ナレーション) りんちゃんはまことくんの手をぎゅっと握りました
(まこと) 「はい、これ僕からのプレゼント」
(ナレーション) その小さい手には大きな木の丘に咲き乱れているお花が1つ。
(りん) 「ありがとう」
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