≪まえがき
≫
心があたたかくなってほしいと願います。
子供達の心が
大人達の心が
笑顔いっぱいになってほしいと願います
子供達の屈託のない笑顔
大人達の素直な笑顔
世の中が幸せに満ちてほしいと願います
地球に住む私達ひとりひとりが
キラキラ輝ける世界であって欲しいと願います
大きなことはできません
でもひとつ、心に光が差し込むようにと願い続けます
『魔法の杖』
≪はじめまして、魔法の杖
≫
(ナレーション)
太陽がニコニコ、お花さんは元気いっぱい背伸びして、虫さんや小鳥さんの話声がいっぱいになってきた春。
この村にひとりの女の子が引っ越してきました。
名前はりんちゃん。
太陽さんが顔を出している時はいつも丘の上の大きな木の下でお花さんたちと楽しそう。でもまだお友達がいないの。
(ナレーション) 今日もいい天気。りんちゃんは丘の上の大きな木の下へ向いました。
(りん)「あの子だれ?」
(ナレーション) 先に男の子がひとり遊んでいました。
(りん) 「こんにちは」
(まこと) 「あっこんにちは」
(ナレーション) 男の子はびっくりした様子。
(りん) 「ねえ、何しているの?」
(まこと) 「小鳥さんが木の上で楽しそうに歌を歌っているのを聞いていたんだ。ここは僕のお気に入りの場所なんだ。」
(りん) 「私もとっても大好き。前住んでいた村からこの大きな木だけ見えていてね、ずっと来たいと思っていて、お願いがかなったの。わたし、りんっていうの」
(まこと) 「ぼくは、まこと」
(ナレーション) すぐ仲良しになりました。
まことくんは誰にでも優しくて、勇気があって友達もいっぱい。みんながまことくんを大好き。
ある日、りんちゃんのお家で遊んでいる時、
(りん) 「まことくん、まことくんはお友達が元気なかったり、悲しい顔をしているといつも元気になるように楽しくしてくれる。どうして?」
(まこと) 「そうかな?楽しい事やうれしい事がいっぱいある方がもっとうれしくなるから、みんなもそうかなって」
(りん) 「すごいね。まことくん」
(りん) 「あのね、うちに魔法の杖があるの。たくさんのお友達を幸せにする杖だよ。まことくんと一緒だね」
(まこと) 「すごいね。見せてくれる」
(りん) 「うん、もちろん」
(ナレーション) まことくんは初めて見る魔法の杖にワクワク。
(まこと) 「さわってもいい」
(りん) 「はい、どうぞ」
(ナレーション) ドキドキしながら杖を受け取り、あっちからこっちからのぞき込んで、
(まこと) 「友達を幸せにするってどうやって?」
(りん) 「うん、わかんない。まことくんなら使えるかも。だってまことくんが思っている事と同じことだもん。これまことくんにあげる。もっともっとお友達を幸せにしてあげて。みんな、みんなを」
(まこと) 「えっ、いいの。大切なものでしょ?」
(りん) 「いいよ。まことくんがもっているほうが魔法の杖もうれしいと思うから」
(まこと) 「そうかな。ありがとう。大切にする。それでいっぱい、いっぱいみんなを幸せにするね。でも、一番はりんちゃんがずーと幸せで、ニコニコ笑顔でいてほしいな」
(ナレーション) 二人には温かい気持ちがあふれていました。
(りん) 「まことくん、一つだけお約束してほしいの。その魔法の杖、自分の事に使ってはいけないの。だからそのお約束守ってくれる?」
(まこと) 「うん、約束する」
(ナレーション) まだ、まことくんはその使い方がわかりません。
お家に帰って、
(まこと) 「えい!ちがうな。何か呪文でもあるのかな」
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