≪うそとうそ≫
(ナレーション) 今日もいい天気。太陽さんもニコニコ、小鳥さんも元気いっぱい。まことくんは昨日の事はすっかり忘れて、大きなパンをパクリ。
(まこと母) 「まこと、朝ごはん食べたら、これおねがいね」
(ナレーション) お金の入った封筒を1つ。昨日の事がよみがえってきました。いっきに嫌な気持ちになりました。
りんちゃんの家へ向かう途中、小石を蹴飛ばし、魔法の杖で草をバシバシ、イライラを紛らわしつつ。りんちゃんの家につきました。
(まこと) 「りんちゃん遊ぼう」
(りん) 「はーーーーい。おはようまことくん。どうしたの元気ないみたい」
(まこと) 「ぼくはいつでも元気いっぱいだよ」
(ナレーション) 心配してくれたりんちゃんの気持ちが少し照れくさかった。
(まこと) 「何して遊ぶ?」
(りん) 「うーーん、今日もいいお天気だから大きな木の丘へいこうっか」
(まこと) 「うん。行こ」
(ナレーション) 手をつないでニコニコの2人。
本当に今日のお陽様みたい。
つないだ手は前へ後ろへ大きく振って歩いて行きました。
でも、まことくんの心の中はまだ少し曇っていました。
左のポケットの中にはお母さんの用意してくれたお金の封筒が入っていたから。
(まこと) 「いつ言おうかな。いつ言おうかな」
(ナレーション) 呪文のように。
(りん) 「ねえ、まことくん魔法の杖どう?みんなすごく喜んでいるみたい。幸せにしてあげているんだね。やっぱりまことくんはすごいね」
(まこと) 「うん、そうなんだ。昨日そのお話しようと思ってりんちゃんち行ったんだよ。留守だったから」
(りん) 「ごめんなさい。昨日はおばあちゃんのお見舞いに行ってたの。」
(まこと) 「病気なの?」
(りん) 「違うの、足をくじいたの。だから大丈夫。2.3日したら帰って来れるの。今日もお母さん病院に行っているの」
(ナレーション) まことくんは思い付いた。
(まこと) 「そうだ、りんちゃんにお話してお母さんに黙っていてもらおう」
(ナレーション) やっぱり大きな木の丘は気持ちがいい。風がそよそよ吹いて、小鳥さんの歌声。
(まこと) 「りんちゃんあのね」
(りん) 「どうしたの?」
(ナレーション) 昨日のルミちゃんの出来事をはなしはじめました。
(りん) 「うん、いいよ。お母さんには黙っておくね。でも、いいの?」
(まこと) 「いいの!りんちゃんには関係ないから!」
(ナレーション) りんちゃんはビックリ。まことくんが初めて怖い顔をして言ったから。
(りん) 「じゃ、りんはそれでいいよ。そうだ、魔法の杖のお話聞かせて」
(ナレーション) ちょっと得意げに話し始めました。みどりちゃんのニコニコの話、続いてときおくんのかっこいい靴、ただしくんが釣りを教えてくれる話。りんちゃんはニコニコして聞いてくれている。
(まこと) 「やっぱりりんちゃんが幸せそうにして話を聞いてくれるとうれしいなぁ」
(ナレーション) 夜ベットの中でとっても嬉しい気持ちいっぱいでまことくんはぐっすり。
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